相続手続きは何から?初動でやるべきこと

家族が亡くなった直後は悲しみに暮れる間もなく、様々な手続きに追われることになります。相続手続きは複雑で期限が設定されているものも多く、何から手をつけるべきか分からず混乱してしまう方が少なくありません。本記事では、相続が発生した際に最初に取り組むべき重要な手続きについて、優先順位とともに解説していきます。
死亡直後に必要となる緊急手続き
相続手続きを始める前に、まずは法律で定められた期限内に行わなければならない手続きがあります。これらは相続とは直接関係ありませんが、極めて重要です。
死亡届の提出と火葬許可証の取得
死亡後七日以内に、死亡届を市区町村役場に提出する必要があります。これは法律で定められた義務であり、遅れると罰則の対象となる場合もあります。
通常は葬儀社が代行してくれることが多いですが、自分で手続きを行う場合は医師が発行した死亡診断書と合わせて提出します。死亡届を受理されると火葬許可証が発行され、これがなければ火葬を行えません。
また、火葬後は埋葬許可証として使用されるため、大切に保管しておく必要があります。
年金受給停止の手続き
故人が年金を受給していた場合、速やかに年金事務所へ受給停止の届出を行わなければなりません。国民年金は死亡後十四日以内、厚生年金は十日以内という期限が設けられています。この手続きを怠ると、死亡後も年金が振り込まれ続け、後日返還を求められることになります。不正受給とみなされる可能性もあるため、優先的に対応すべき手続きのひとつです。年金手帳や年金証書を用意して、最寄りの年金事務所で手続きを行いましょう。
健康保険証の返却と各種契約の停止
故人が加入していた健康保険証は、速やかに返却する必要があります。国民健康保険の場合は市区町村役場へ、社会保険の場合は勤務先または保険組合へ返却します。
また、公共料金や携帯電話、クレジットカードなど、継続的な支払いが発生する契約については、速やかに名義変更または解約の手続きを進めることで、無駄な出費を防げます。
相続財産の把握と関係者の確定
初動対応が一段落したら、相続手続きの本格的な準備として、財産状況と相続人の確認を行います。これが以降の手続きの基礎となります。
遺言書の有無の確認
相続手続きを進める上で最初に確認すべきは、遺言書が存在するかどうかです。遺言書がある場合とない場合では、相続の進め方が大きく異なります。
自宅の金庫や仏壇、銀行の貸金庫などを探し、公正証書遺言の場合は公証役場で検索することもできます。遺言書を発見した場合、封印されているものは勝手に開封せず、家庭裁判所で検認の手続きを受ける必要があります。
ただし、公正証書遺言は検認不要です。
相続人の確定と戸籍謄本の収集
法定相続人が誰になるのかを確定させるため、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得します。この作業により、知らなかった相続人の存在が判明することもあります。
戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得しますが、転籍している場合は複数の役場から取り寄せる必要があります。相続人全員の現在の戸籍謄本も必要になるため、早めに準備を始めましょう。
財産目録の作成と債務の確認
相続財産には預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借入金などのマイナスの財産も含まれます。通帳や権利証、契約書類などを整理し、財産目録を作成します。
金融機関への照会や固定資産税の納税通知書から不動産を確認するなど、漏れのないように調査することが重要です。債務が多い場合は相続放棄の検討も必要になるため、早期の把握が求められます。
期限のある重要手続きへの対応
相続には法律で定められた期限があり、期限を過ぎると選択肢が制限されたり、不利益を被ったりする可能性があります。計画的に進めることが大切です。
相続放棄または限定承認の判断
相続開始を知った日から三か月以内に、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選択しなければなりません。この期間を過ぎると自動的に単純承認したものとみなされ、負債も含めてすべての財産を相続することになります。
債務が多い場合や、相続トラブルに巻き込まれたくない場合は、家庭裁判所に相続放棄の申述を行う必要があります。限定承認は相続人全員の同意が必要で手続きも複雑なため、専門家への相談をお勧めします。
準確定申告の実施
故人が個人事業主であった場合や、給与以外の所得があった場合は、相続開始を知った日の翌日から四か月以内に準確定申告を行う必要があります。これは故人の死亡した年の一月一日から死亡日までの所得を申告するもので、通常の確定申告とは期限が異なります。
申告義務があるにもかかわらず行わなかった場合、延滞税などのペナルティが発生する可能性があります。
相続税申告の準備開始
相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から十か月以内です。基礎控除額を超える財産がある場合は申告が必要になるため、早い段階から準備を始めることが重要です。
不動産の評価や金融資産の集計には時間がかかるため、税理士への相談も含めて計画的に進めましょう。期限内に申告できない場合、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。
まとめ
相続手続きの初動では、まず死亡届の提出や年金停止といった緊急性の高い手続きを優先的に行います。その後、遺言書の確認や相続人の確定、財産目録の作成といった基礎的な調査を進めることで、以降の手続きをスムーズに進められます。とくに相続放棄は三か月、準確定申告は四か月、相続税申告は十か月という期限があるため、計画的な対応が求められます。相続手続きは複雑で専門知識を要する場面も多いため、必要に応じて弁護士や税理士などの専門家に早めに相談することをお勧めします。初動の段階で適切に対応することで、後のトラブルを防ぎ、円滑な相続を実現できるでしょう。








