ペットを相続するには?手段や注意点などを解説

公開日:2024/02/15  

ペットは家族の一員として多くの家庭で大切にされています。しかし、ペットの飼い主が亡くなった場合、そのペットはどうなるのでしょうか?親族のどなたかが引き取るほか、相続するにはどうするべきでしょうか?この記事では、ペットの相続に関する法律的な扱いや、ペットを相続する際の方法、注意点について詳しく解説します。

そもそも「ペット」は法律ではどういう扱い?

「ペット」の法的扱いについては、民法上(民法85条等)「物」として扱われることが一般的です。このため、亡くなった親族(被相続人)が飼っていたペットは、特別な事情がない限り、被相続人の「物」として、遺産の一部として相続の対象になります。

しかし、近年ではペットに対する考え方が変化しており、法律上のペットの扱いについても議論が進行中です。

たとえば、一部の地方自治体では、飼い主が亡くなった場合にペットの安全な保護先を見つけるための制度を設けているところもあります。また、相続の際に特別な遺言を残し、ペットについての具体的な指示を記載することも可能です。

ペット愛護に関する法律や規制も整備されており、虐待や不当な扱いを防ぐために努力が払われています。

ペットの扱いについては、法律と共に社会的な倫理観や動物愛護の観点からも考えるべきです。ペットは家庭の一員として大切にされ、適切に保護されるべき存在であるという認識が広まっています

ペットを相続する方法

ペットの相続については、命を取り扱う問題であるため、慎重に検討する必要があります。また、相続人や家族がペットに対してどのような関心や責任を持つかについて合意を得ることが重要です。以下で詳しく解説します。

遺言書での指定

相続人が複数いる場合、遺言書でペットの居住を指定することができます。遺言書に明確に記載されている場合、その指示に従うことが一般的です

遺言書は相続財産の取り決めだけでなく、ペットについての具体的な世話や維持に関する要望も含むことができます

相続財産の中での扱い

相続人や遺言書での指定がない場合、ペットは他の相続財産と同様に取り決めが必要です。家族や相続人と協議し、誰がペットの世話をするか、誰が所有権を持つかを決定します

この際、ペットの福祉と安全を最優先に考えることが大切です。

費用の取り扱い

相続人や遺言書での指定がない場合、ペットの維持管理にかかった費用は相続財産から支出されることが考えられます。ペットの医療費、食事、住居、その他の必要経費は、相続財産の中から賄われるべきです。

ただし、これらの費用の具体的な取り決めが重要であり、家族や相続人間で合意が必要です。相続においてペットの存在は感情的な要素を含みますが、合意と協力が不可欠です。

遺言書の作成や相続財産の取り決めにおいて、ペットの福祉と幸福を最優先に考え、遺産分割協議を円滑に進めることが大切です

ペットを相続するうえで注意すべきポイント

ペットを相続する際に注意すべきポイントは多くあります。ペットは家族の一員として大切に育てられてきた存在であり、その未来に関する配慮が必要です。以下、相続に関連するポイントを詳しく説明します。

ペットの面倒を見る状況の確認

相続人がペットの面倒を見ることができるかどうかを最初に確認することが重要です。相続人がペットに十分な時間とリソースを提供できる場合、ペットを引き取ることが選択肢として考えられます。

しかし、相続人がペットの面倒を見る状況にない場合、専門業者に引き取ってもらうなどの処分方法を考慮しなければなりません

遺言書の作成

遺言書を作成することで、ペットの将来に関する具体的な指示を残すことができます。遺言書には、ペットを誰が引き取るか、飼育費用のための資金をどのように提供するかなどの詳細が含まれます

遺言書の作成により、ペットの未来が明確になり、トラブルを避けることができます。

動物愛護管理法の存在

ペットは法的には「物」と扱われますが、日本の動物愛護管理法によって保護されています。この法律は、ペットの適切な飼育を促進し、虐待や遺棄を防ぐために存在します。

したがって、ペットの相続に際して、法律に従うことが不可欠です。ペットの放棄や適切でない扱いは罰則の対象となり、法的な問題を引き起こす可能性があります

相続財産の管理

ペットが相続財産として引き継がれる場合、その財産の適切な管理を確保することが重要です。飼育費用や健康管理のための資金を確保し、ペットが快適に生活できるようにします。これに関する詳細は遺言書に含めることができます。

相続手続きの遵守

相続に関する法的手続きを遵守することも忘れてはなりません。相続財産には税金や手続きがかかる場合があり、相続手続きを適切に処理することが重要です。

ペットの相続に関するポイントを把握し、ペットの幸福と法的規定の遵守を両立させるために、遺言書の作成や専門家の助言を受けることがおすすめです。

まとめ

ペットの相続は、法律的には「物」としての扱いとなりますが、実際には家族の一員としての存在感が強く、動物の命に関わる問題であるため、慎重な取り扱いが求められます。相続に際しては、法律的な手続きだけでなく、ペットの将来の生活や世話についても考慮する必要があります。適切な相続手続きを行い、ペットにとって最善の環境を提供することが大切です。


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