相続争いに疲れて離脱したい!相続争いから抜ける方法を紹介

公開日:2024/08/15  

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遺産相続をめぐる、親族同士での争いは残念なことに珍しくありません。なかには、遺産はいらないから争いから離脱したいと考える人も出てくるほどです。そこで本記事では、相続争いから抜け出す方法を3点紹介します。相続争いで悩んでしまう前に、解決できる選択肢を見つけ出せるようにしましょう。

「相続放棄」をする

相続放棄とは、亡くなった方の財産が債務や借金などのマイナスの財産の方が多い場合、または相続人にとって不要な財産しかない場合に、相続人が相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し立てることを指します。

これにより、相続人は遺産分割協議への参加資格を失い、家族間の相続争いから離脱できます。相続放棄を選択するメリットはいくつかあります。まず、放棄すれば遺産分割協議に参加する必要がなくなり、手続きの簡略化が可能です。

また、後に被相続人の借金が発覚しても、相続放棄した相続人には返済義務が生じません。さらに、相続放棄を選択しても生命保険金は受け取れるため、その資産は保持できます。一方、相続放棄を選択する際の注意点もあります。

まず、一度相続放棄を実行し受理されると、原則として撤回はできません。また、相続放棄の手続きを行わない場合は、自動的に単純承認が適用され、財産を相続することになります。

さらに、相続放棄の前後に被相続人の財産を処分したり、売却したりする行為は避ける必要があります。具体的には、相続放棄の手続き前後に行われるべき行為とNG行為があります。NG行為は、被相続人の財産を勝手に処分する行為や高額な資産を売却するなどです。

しかし、近隣への迷惑を考慮した家屋の修繕や経済的価値のない遺品の処分は問題ありません。以上のように、相続放棄を検討する際にはメリットと注意点を理解し、慎重に判断する必要があります。

相続分の放棄をする

相続分の放棄は、遺産分割の席で自身が被相続人の財産を受け取らない意思を示し、その後遺産分割協議に参加しないことを指します。

相続放棄との違いは、時間的な制限や形式についてです。まず、相続分の放棄には時間的な制限がなく、いつ放棄しても遺産分割協議から外れられます。相続放棄では相続の開始から3か月以内に手続きを行わなければなりませんが、相続分の放棄にはそのような制限はありません。

次に、相続分の放棄は特定の形式を必要としません。相続放棄では相続放棄申述書などの書類が必要ですが、相続分の放棄では自分で作成した書面や口頭での宣言でも有効です。また、相続分の放棄でも生命保険金は受け取れますが、生命保険の非課税枠は使えません。

注意点としては、債務がある場合は相続分の放棄が通用せず、債権者に対しては責任が残ります。また、他の相続人が名義変更を行う際には、遺産分割協議書への実印の押印と印鑑登録証明書の提出が必要です。

このような手間を省くためには、相続分の放棄証書を作成し、共同相続人全員に通知することが効果的です。配達証明付き内容証明郵便で通知することをおすすめします。

ただし、金融機関によっては相続分放棄証書での手続きを認めない場合もあります。その場合は銀行の要求に従う必要があります。以上が相続分の放棄の概要と注意点です。

相続分の譲渡をする

相続分の譲渡は、自身の法定相続分を特定の相続人や第三者に譲り渡す行為です。

これは相続放棄とは異なり、自身の法定相続分を無償または有償で特定の相続人や第三者に譲り渡すことを指します。先程の相続放棄が「自分は被相続人の財産を何も受け取らない」という行為であるのに対し、相続分の譲渡は自身の法定相続分を他者に譲渡する行為です。

法定相続分とは、国が民法で規定している財産の分配方法であり、家族構成や続柄によって割合が異なります。たとえば、配偶者と子供2人の場合、配偶者は財産の1/2を相続し、子供は財産の1/4を相続します。

法定相続分はあくまでも目安であり、実際の遺産分割はこれに従う必要はありません。相続分の譲渡を選択する際のメリットは以下の通りです。

譲渡のタイミングに期限や形式の制限がなし

相続放棄とほぼ同じですが、譲渡のタイミングに時間的な制限がなく、いつ譲渡しても遺産分割協議から外れられます。

また、譲渡の形式も特段決まったものはなく、書面や口頭でも有効です。

譲渡先を任意で選択可能

相続放棄では放棄した相続分は他の相続人に按分されますが、相続分の譲渡では譲渡人が譲り先を任意に選択できます。

これにより、特定の相続人や第三者に相続分を譲渡することが可能です。譲渡を受ける相手を自由に選べるため、友好的な関係にある相続人への譲渡、また、相続人以外の第三者にも譲渡することが可能ですが、これはまれなケースです。

有償で譲渡すれば相続分に相応の対価を受け取れる

有償で相続分を譲渡すると、相続分に見合った金銭を受け取れます。

これにより、遺産分割が完了する前に現金を手にできます。有償で譲渡した場合、相続分の譲渡対価は相続税の対象です。譲渡を受けた側は相続財産額から支払った対価を差し引いて相続税が課税されます。

無償で譲渡した場合、譲渡した側には課税が生じませんが、譲渡を受けた側は相続財産額に譲渡分が含まれて相続税が課税されます。

生命保険金が受取可能

相続分の譲渡をしても自身が受取人となっている生命保険金は受け取れます。

ただし、相続分の譲渡により相続人の地位を失うため、生命保険の非課税枠は適用されません。注意点としては、譲渡した相続分のマイナスの財産(債務)は他の相続人と共有し、債権者からの請求に応じなければなりません。

また、名義変更などの手続きには譲渡人の同意が必要です。このような手間を省くためには、譲渡の際に相続分譲渡証書を作成し、共同相続人に通知することが効果的です。

ただし、金融機関によっては相続分譲渡証書だけでは手続きを認めない場合もありますので、要求に応じる必要があります。以上が相続分の譲渡の概要と注意点です。

まとめ

遺産相続に伴う争いから離脱する方法は、相続放棄、相続分の放棄、そして相続分の譲渡の3つがあります。これらの選択肢を検討することで、相続争いに巻き込まれるリスクを回避し、精神的な負担を軽減できます。各方法にはメリットと注意点がありますが、自身の状況や希望に合わせて最適な選択をしておきましょう。遺産を手に入れても、人間関係や精神状態がボロボロでは本末転倒です。時には自身の体や心を守るために、相続争いから離脱する選択肢を検討しておきましょう。


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