実は損をする?理解しておくべき相続時精算課税制度のリスクとは

公開日:2022/07/15   最終更新日:2023/07/06

皆さんは相続時精算課税という制度をご存じでしょうか?この制度を理解しておくことで、過度に税金を納めたり、節税をしたりなど、条件によっては得をする例が見受けられます。今回の記事では、相続時精算課税制度に関する概要や利用するリスク、活用方法による節税などに関して詳しく解説します。
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相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度は平成15年に創設された制度になります。この概要は、60歳以上の父母、あるいは祖父母から20歳以上の子、または孫に対して制定された贈与税に関する制度のことを指します。

その内容を大まかに説明すると、2,500万円までは贈与税の課税対象にならないということになります。これ以上の金額を贈与する場合は、2,500万円を差し引いた額に対して20%が課税の対象となります。本来であれば、年間に110万以上の金額を個人からもらった場合に発生する贈与税がかかりますが、それが免除されるということになります。

ただし、一生免税されるというわけではありません。贈与者が他界した場合、相続時精算課税制度の時に贈与された財産に加えて、その時の相続財産の価値に対して課税することが必要になります。つまり、いずれは必ず贈与税を納税しなければいけないということになります。

すこし頭の中を整理するためにも例を挙げて説明します。まず、父親から娘に対して1500万分の現金を贈与しました。これに対して相続時精算課税制度を利用すると贈与時に税金を免除されることになります。

この5年後に父が他界したときに、相続財産が別で3500万円あったことにしましょう。その場合の相続税としては1,500万円+3,500万円=5,000万円に対して課税の対象となるのです。

この例に合わせると、父親と同時に母親からも1,500万円の仮想通貨を相続したとしましょう。その場合、合計で3,000万円になりますが、贈与者がそれぞれ違うため、課税の対象にはなりません。つまり、一人当たりの贈与者に対して2,500万円の相続時精算課税制度となっているため、2名で合計5,000万円が非課税枠になるのです。

また、贈与時に仮想通貨では1,500万円であったとして、その10年後に母が他界したとしましょう。他界した時の仮想通貨が1億円であったとしても、100万円に下落していたとしても贈与時の時価に対する課税になるので、注意が必要です。

これ以外にも、この制度ではさまざまなルールがあります。それは、贈与を受けた翌年2月1日~3月15日の間に定められた書類を提出し、申請することが必要であるということです。

また、一度相続時精算課税制度が適応になった場合、暦年課税へ変更することはできません。そのため、年間110万円の贈与税も免除になりますが、他界した時に贈与額の合計を対象にした納税が必要になるので、注意しましょう。

また、相続時精算課税制度を利用する場合、小規模宅地等の特例を利用できなくなります。一定の要件を満たすことで約80%の減税が可能な制度であるため、巨額の節税にもつながります。そのため、将来的に宅地の相続の可能性がある場合、どちらかを選択するのか吟味する必要があります。

相続時精算課税制度を活用する際に起こりえるリスク

暦年課税の方が節税になる場合

贈与者が長生きしていたため、数十年後に他界してしまった場合などは暦年課税の方が有利な場合もあります。また、贈与資産が予想を反して価値が低下してしまった場合もこの対象になります。

しかしこれは結果論であり、ここをコントロールするのは非常に困難であり、運の要素もあります。しかし、覚えておいてほしいこととしては、この制度を利用すると相続財産に加算する必要があるが、暦年贈与は死亡前3年の贈与を除き、加算の必要はないということです。

贈与税の枠で贈与することで、相続税率よりも低い110万円の基礎控除の利用できるため、どのケースに当てはまるかなどを考慮して決定することが望ましいと考えます。

小規模宅地等の特例が適用外になる

上記でも軽く解説しましたが、小規模宅地等の特例が適用にならなくなります。これにより、宅地用の80%の減税や、貸付不動産の50%の減税ができなくなるため、注意が必要です。

不動産価値は年々低下の一歩をたどっています。また、宅地が広大で立地条件などがよい場合、その資産価値は大きいため、減税の恩恵も膨大です。これらの内容を加味して、相続時精算課税制度の利用を検討する必要があると考えます。

将来的な贈与財産の価値低下

贈与時と比較して、贈与者が他界した時の時価が低下する恐れのある資産は、より多くの税金を納める必要があります。上記の例でも触れましたが、変動の強い仮想通貨や不動産資産などは注意が必要と考えます。

最終的には、受贈者が税金を納めることになるので、将来的に価値が増しそうなものの贈与を検討が必要であるといえます。

うまく使えば将来的に節税できる

この制度の一番の利点は、納税を先延ばしできるというメリットになります。これは税金が安くなるわけではなく、逃れることのできない制度になります。

たとえば、株式で一時的に株価が低迷しており、近い将来価格が上昇する可能性が高いもの等は、将来的な節税になると考えます。また、生前に贈与することで納税額が大きくなるものに関しては同様にこの制度を利用することで節税につながります。

以上のように、将来的に価値が上昇すると予測できるものに関しては節税の対象になるため、そのようなものに置き換えて相続する方法もあるということを覚えておくとよいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?今回は相続時精算課税制度に関して解説させていただきました。この制度にはメリット・デメリットがあるため、自己の環境や将来的な予測を充分に検討したうえで利用することをおすすめします。

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