相続と生前贈与はどちらがよい?特徴やメリット・デメリットを比較
日本の法律では、相続と生前贈与の2つの方法が主に存在します。しかし、2つは全く異なる特徴を持つため、慎重に選ばなくてはなりません。選ぶときには、家族の状況や資産の内容、税金の負担などをチェックしましょう。本記事では、相続と生前贈与の違いやメリット・デメリットを詳しく解説します。
相続とは?
相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産や権利・義務を、法定相続人が引き継ぐ制度のことです。財産だけでなく、負債や契約上の義務も引き継ぐことができ、主に法律に基づいて手続きが行われます。
相続は被相続人が亡くなった時点で自動的に発生し、法定相続人は相続手続きを通じて財産を受け取る権利を持つことになります。
相続のメリット
相続のメリットは、贈与税がかからない点です。財産は被相続人が亡くなった後に一度に相続されるため、生前に税金を支払う必要はありません。被相続人が生前に財産を手放すことなく、亡くなった後に遺族に財産が分配されるためです。
また、遺言書を作成することで、法定相続人に対して遺産の分け方を指定することも可能です。また、相続税の基礎控除が適用されるため、財産の規模によっては税負担が軽減される可能性があります。さらに、相続は法定相続分に基づいて公平に分配されるため、遺産分割に関する争いが少ないことも利点のひとつです。
相続のデメリット
遺産分割をめぐって家族間でのトラブルが発生するケースや、相続税の納税額が多額になる可能性がある点が挙げられます。また、相続手続きには時間と費用がかかり、不動産の名義変更や財産の評価などが煩雑になることもあります。
また、法定相続分に基づいて財産が自動的に分割される点にも注意が必要です。特定の相続人に対して意図的な配慮を行いたい場合には、遺言書を残しておくことが推奨されます。
生前贈与とは?
一方で、生前贈与とは、被相続人が存命中に自身の財産を特定の相続人や親族に贈与する行為を指します。生前贈与を利用することで、相続時の財産の総額を減らし、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
生前贈与のメリット
生前贈与の最大のメリットは、相続時の財産総額を減らし、相続税の負担を軽減できる点です。とくに、贈与税の非課税枠である110万円を活用することで、毎年少額ずつ財産を移転させることが可能です。また、生前に財産を贈与することで、相続後の遺産分割争いを回避し、家族の意思を尊重した分配ができます。
生前贈与のデメリット
贈与税が相続税に比べて高額であるため、大きな金額を一度に贈与すると大きな税負担が発生するリスクがあります。しかし、生前贈与には贈与税が課されるため、金額に応じて税負担が発生します。贈与税は相続税に比べて税率が高い傾向があるため、計画的に贈与を行う必要があるでしょう。
年間110万円までの贈与は贈与税が非課税となるため、この範囲内で贈与を行うのがベターです。また、生前贈与を行うことで、被相続人が生前に財産を手放してしまい、将来的な生活資金が不足する可能性もあります。
さらに、生前贈与が行われた場合でも、相続時に生前贈与加算という制度が適用され、贈与された財産が相続財産に含まれる場合があるため、注意が必要です。
相続と生前贈与を比較
相続と生前贈与には、それぞれ異なる特徴やメリット・デメリットがあります。どちらの方法が適しているかは、被相続人の財産状況や家族の意向、税金面での負担などを考慮する必要があります。以下に、両者のメリットとデメリットを解説します。
相続のメリットとデメリット
相続は、財産が発生したときに初めて税がかかるため、特に大きな財産がない場合には、税負担を軽減しやすい点が魅力です。また、相続税には基礎控除が適用され、遺産総額が一定以下の場合は相続税が発生しないため、財産が少ない家庭には経済的な選択といえます。
さらに、贈与とは異なり、被相続人が亡くなるまで財産が自身の手元に残るため、資金管理を続けやすいです。ただし、財産が多額で相続税の負担が重くなるケースでは、適切な対策が必要です。
一方で、相続は家族間でのトラブルが発生しやすい場合があります。特に、遺産分割が不明確な場合や家族構成が複雑な場合、分配の際に意見の対立が生じることも考えられます。事前に遺言書を準備するなど、争いを回避するための工夫が求められるでしょう。
生前贈与のメリットとデメリット
生前贈与は、相続税対策として活用できる方法です。計画的な生前贈与によって、贈与税の非課税枠を利用し、時間をかけて少しずつ財産を移転させることで、相続時の税負担を軽減できます。
また、生前贈与を通じて家族に確実に財産を分配し、意向を反映した形での財産移転が実現可能です。これは、将来的なトラブルを予防し、家族全員が安心できる資産分配に繋がります。
一方で、生前贈与には贈与税が課されるため、その負担が大きくなる可能性もあります。贈与税は累進課税となるため、高額な贈与を一度に行う場合には税負担が高くなるため、注意が必要です。非課税枠を有効活用し、年間110万円以内に抑えるなど、長期的な視点で贈与の計画を立てることが大切です。
適切な方法の選択
相続と生前贈与のどちらを選ぶかは、被相続人の財産規模や家族の構成、税負担への配慮を踏まえた上で判断することが重要です。財産が大きい場合には、生前贈与を活用し相続税を軽減する一方で、財産が少ない場合には相続を選び、家族のための資産を確保する方法が適しています。
まとめ
家族間でのトラブルを避けるためには、遺言書の作成や生前に家族とのコミュニケーションをしっかりと行い、相続や贈与に関する意思を明確に伝えることが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、最適な選択肢を見つけることが、後悔のない財産承継を実現するための鍵となるでしょう。相続と生前贈与のどちらがよいかは一概には言えませんが、税金や家族の状況に合わせて、適切な手段を選ぶことで、財産の承継をスムーズに進めることが可能です。
