相続放棄しても家に住み続けることはできる?
親の借金などを背負いたくない理由から、相続放棄を考える方は少なくありません。相続放棄すれば借金などの相続からは逃れられますが、住宅はどうなるのでしょうか。この記事では、相続放棄した際の住宅に住み続けることができるのかどうかについてご紹介します。また、家に住み続ける方法などについても解説します。
相続放棄したら今の家にいつまで住める?
相続放棄した場合、親のすべての財産を放棄することになりますので、親が所有する住宅も手放します。そのため永住することは難しく、いずれ引っ越しをする必要があります。
相続放棄したときの住める期間
被相続人が亡くなってから、3か月以内に相続放棄する必要があります。相続放棄を終えたあとは、3か月以内に住宅を引き払います。相続放棄〜相続放棄完了までの期間を考えると、最長6か月は現在の住宅に住むことが可能です。
相続放棄した家に住み続ける方法はある?
相続放棄した場合、そのままの状態で永住することはできません。しかし、次の5つの方法であれば、住み慣れた家を離れずに生活を続けられる可能性があります。どのような方法があるのか、見ていきましょう。
配偶者短期居住権
配偶者短期居住権は2020年4月に新設された権利です。被相続人と生活していた方が配偶者であれば、この権利を活用できます。亡くなった被相続人が所有する住宅に無償で住んでいた際に利用可能です。
配偶者短期居住権を使用できる期間は、遺産分割協議により住宅を存続する人が決まった日または、相続の発生から6か月を経過した日のどちらかの遅い日までとなっています。最低でも6か月は住み慣れた家で生活を続けられますが、通常3か月で成立する遺産分割協議が長引けば長引くほど、居住できる期間も伸びます。
住宅の購入
亡くなった被相続人にお金を貸していた場合、相続財産管理人の申立てが可能です。亡くなった人の財産を手放して、お金を貸した人に代金を分配する仕組みです。そのため、財産管理人で住宅を購入すれば、ほかの相続放棄は完了していても住宅は手にできます。
注意点としては、家の購入になるのである程度のお金が必要になることです。
名義変更する
亡くなった被相続人と住んでいた住宅が賃貸であれば、利用できる方法です。借りていた住宅の名義人を自分に切り替えることで、家を出る必要がなくなります。再度、審査が必要になるなどはオーナーや管理会社ごとで異なる場合があるため、一度相談しましょう。
注意点は、被相続人が出した敷金の受け取りに気をつけることです。敷金も相続財産に当てはまるので、受け取ってしまうと、相続放棄ができなくなります。相続放棄をしたい方は気をつけましょう。
親族に自宅購入をお願いする
自分で住宅の購入が難しい場合は、まとまった資金を用意できる親族に住宅購入のお願いをしましょう。購入してもらったあとは住宅を貸してもらうことで、変わらず住み続けられます。
限定承認に切り替える
亡くなった被相続人が住宅のローンの支払い終えている場合、相続放棄ではなく限定承認に切り替えることもひとつの手段です。限定承認は、プラス分の財産だけのマイナスの財産しか引き継げないようにするための相続方法です。ただし、限定承認をするためには相続人全員の同意・住宅に抵当権が設けられていないといった条件をクリアする必要があります。
相続放棄の判断に迷ったら期間伸長できる!
そもそも相続放棄を本当に行なっていいのか、判断に迷う方は多く見られます。とはいえ、相続放棄をするまでの期間が設定されているため、早々な判断を求められます。ここでは、相続放棄に悩んだ際に利用できる期間伸長について見ていきましょう。
期間伸長とは
通常、相続放棄は被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内に手続きを進める必要があります。一方で期間伸長は、家庭裁判所で申立てをすると、さまざまな要因から3〜6か月程度の伸長が可能です。期間伸長が承認されれば、すぐに家を出る必要もありません。また、相続放棄についてじっくり考える時間も設けられるため、親族や専門家などに相談も可能です。
自己判断は避ける
相続放棄に悩む方にとってはありがたい期間伸長ですが、その手続きは少し複雑です。伸長をする理由によっては期間が短かったり認められなかったりする場合があります。だからこそ、自己判断で手続きを進めるのはリスクが大きいと考えられます。
相続のプロである弁護士または司法書士などに相談して、有利になるようにアドバイスをもらうことが大切です。相続放棄の伸長だけでなく、相続放棄をしたあとの住宅についても相談できるので、気になること・ひとりで解決できない問題があれば、早めに専門家に相談しましょう。
まとめ
今回は、相続放棄したときの住宅についてご紹介しました。相続放棄したあと、最長6か月以内に家を出る必要があります。永住はできないため、住み慣れた家を手放したくないときは、限定承認や住宅を購入するなどのさまざまな方法の活用を検討してください。さらに、相続放棄そのものに悩んでいる方は、期間伸長の利用がおすすめです。ただし、期間伸長は手続きがややこしいため、ひとりで進めるのではなく、専門家にアドバイスをもらうことが重要です。