遺言書には何を書けばいいの?目的や種類についても解説
この記事では、遺言書に書く内容や目的、種類についてお伝えします。終活などで万が一に備えて遺言書の作成を検討しているという方もいます。しかしいざ始めてみると、どのように書けばいいのか悩んでしまうのではないでしょうか。遺言書を作成する場合、何を書けばいいのか、目的や種類についても詳しく紹介します。
遺言書とは?遺言書にも種類がある
そもそも遺言書とは、自分の死後の財産分与について記した書類を指します。
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
遺言書とは
遺言書とは、自分の死後に残された財産を誰にどのように残したいのか、自分の意志や想いを確実に伝えるために作成する書類です。
遺言書を作成していない場合は、相続人全員で遺産分割について話し合います。
遺産分割には相続人全員の合意が必要なため、1人でも納得できなければ、家族間のトラブルに発展する恐れがあります。また遺言は、正しく作成されていないものは、無効になるケースもあります。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者本人が自筆で書く遺言書です。費用がかからず手軽に作成できるのが魅力です。
しかし遺言書の要件を満たさなかった場合は、無効になる恐れもあります。遺言者が保管するため、紛失や偽造されるリスクがあるので注意が必要です。相続開始とともに、家庭裁判所の検認が必要です。
公正証書遺言
公正証書遺言は、法律の専門知識と実務経験を有した公証人に遺言内容を口頭で伝え、2人以上の証人立ち合いのもと作成する遺言書です。原本は公証役場で20年間保管されるため、紛失リスクは低いといえるでしょう。
公証人のアドバイスを受けながら作成できるため、要件を満たさずに無効となるケースは、基本的にありません。開封に家庭裁判所の検認は、不要です。自筆証書遺言と異なり、公正証書作成手数料や公証人、証人へ支払う日当などの費用がかかります。
秘密証書遺言
秘密証書遺言では、遺言内容を秘密にできます。公証人と2人以上の証人立ち合いのもと公証役場で手続きし、遺言書の存在のみを証明する方法です。
遺言内容を誰にも知られたくなかったり、遺言書が発見されないケースを防いだりなどのメリットがあります。しかしその一方で、手続きに手間や費用がかかり、遺言書を自分で作成するため、要件を満たさずに無効になるケースもあります。
遺言書に記載するべき情報
遺言書に記載すべき情報は主に「相続に関する事項」「遺産の処分に関する事項」「身分上の事項」「遺言の執行に関する事項」があります。
法定遺言事項と呼ばれ、法的な拘束力がある遺言内容のことを指します。それぞれ詳しく解説します。
相続に関する事項
まず、相続に関する事項です。相続を希望する場合は、「相続人の廃除・廃除の取消」や「相続分の指定、指定の委託」、などがあります。
また、遺産分割においても「遺産分割方法の指定」「遺産分割の禁止」などを記述しておく必要があります。
遺産の処分に関する事項
故人の遺産の取り扱い方法に関して指定がある場合、「遺産を寄付する」「相続人以外に遺産を譲る」などを明記する必要があります。
身分上の事項
死亡後の子の認知や、未成年後見人、未成年後見監督人の指定などがあれば、記述しておきましょう。
遺言の執行に関する事項
遺言執行人の指定をすることもできます。
遺言執行人とは、遺産の管理や遺言の執行など、必要なすべての手続きをする人です。
遺言執行人を指定しておけば、遺産分割などの手続きをスムーズに進められます。相続人は、遺言執行人による遺言内容の執行を妨げることはできません。そのため遺言書の内容を確実に実行できるでしょう。遺産トラブル回避に役立てられます。
遺言書の作成で相続がスムーズになる
遺言書の作成で相続がスムーズに進められます。
しかし、自分で作成すると無効になるケースもあるので専門家に依頼したいという方もいるでしょう。ここでは、遺言状の作成を依頼できる業者のなかでも、「信託銀行」「弁護士」「税理士」への相談について詳しく紹介します。
信託銀行
信託銀行が提供するサービスの「遺言信託」では、専門家による遺言書作成のサポートや遺言書の保管や、遺産分割などの相続に関する業務を任せられます。しかし費用が高かったり、相続トラブルには対応できなかったりなどのデメリットがあります。
弁護士
遺言書によってトラブルが発生する可能性が高い場合は、弁護士に相談する方法もあります。
生前から相続発生後まで、トータルでサポートしてくれます。トラブル時にはスムーズな解決が期待できる一方で、高額な費用がかかる可能性があります。
税理士
税理士は、税務書類作成や税金の申告などの実務を担います。
遺言書の作成には対応していませんが、相続税や贈与税の計算、申告、納税などを任せられるため、手続きの負担を軽減できるでしょう。
まとめ
この記事では、遺言書に書く内容や目的、種類についてお伝えしました。遺言書とは、自分の死後の財産分与について、自分の意志を確実に伝えるために作成します。遺言書の種類は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。遺言書に記載するべき情報は主に「相続に関する事項」「遺産の処分に関する事項」「身分上の事項」「遺言の執行に関する事項」があり、遺言書を自分で作成すると、要件を満たさずに無効になるケースもあるため注意が必要です。家族間の相続トラブルを回避するためにも、遺言書の作成を検討してみてはいかがでしょうか。