「遺産」の範囲はどこまで?相続税の課税対象になる遺産も紹介

公開日:2024/07/15  

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親族がなくなった際に必ず出てくるのが、遺産相続の話です。しかし、ひとことで遺産といっても、対象物は何なのでしょうか。本記事では、遺産に該当するものと該当しないものを種類別に紹介します。遺産の対象範囲をしっかり把握して、相続でのもめごとや相続できるはずの遺産をもらえないケースを回避しましょう。

遺産の具体例を紹介

遺産には、プラスとマイナスの両方が存在し、相続の際にはその内容を理解することが重要です。

プラスの遺産

プラスの遺産には、現金や外貨、不動産、有価証券、債権、家庭用品、ゴルフ会員権、船舶や飛行機、仮想通貨、知的財産権などが含まれます。

これらは相続人にとって資産となり、その価値は適切に評価されます。とくに近年では、デジタル化された資産も増えており、ネット銀行の預金や証券口座にある株式、仮想通貨などは、相続手続きにおいて注意が必要です。

マイナスの遺産

マイナスの遺産は借金や未払いの経費、未払税金、家賃や地代、慰謝料や損害賠償金、預り金、保証債務などが該当します。

これらは相続人にとって負債となり、相続によって引き継がれることになります。相続人はこれらの債務を弁済する責任を負います。

遺産の評価・処分

遺産の評価や処分にはさまざまな要素があります。

不動産や有価証券などの資産は価値の変動がありますし、知的財産権の価値評価も専門的な知識が必要です。さらに、借金や未払いの経費などの負債は相続人の負担となりますので、それらを適切に把握し、相続の計画を立てることが重要です。

相続手続きでは、遺産の詳細なリストアップや評価、債務の確認などが必要です。また、遺産分割や財産の処分に関しては、家族や相続人間の合意や法的な手続きが求められます。

遺産相続は法的な手続きが必要な場合が多いため、適切なアドバイスや専門家の支援を受けることが重要です。

遺産に該当しないものの例

遺産として考えられるもののなかには、実際には遺産に該当しないものがあります。

遺族給付

一例として挙げられるのが、遺族給付です。

遺族給付とは、法令により被相続人と一定の関係にある人に対して支給される給付金のことです。この給付金は遺族固有の権利であり、遺産とは異なります。

遺産から発生する定期的な収益

賃貸物件や株式などの遺産から定期的な収益が発生する場合、この収益自体は遺産には該当しません。

しかし、収益が発生するたびに、誰が受け取るのかという点については、相続人間で争いの原因となることがあります。そのため、遺産分割の協議のなかで収益の取り扱いについて明確に取り決めることが一般的です。

一身専属的な権利・義務

相続の対象外となるものには、一身専属的な権利や義務があります。

これらは本人にのみ認められた権利や義務であり、他者に譲渡や相続できません。具体的な例としては、生活保護受給権や年金受給権、扶養請求権、身元保証人の地位、国家資格、使用貸借における借主の地位、本人の責めに帰すべき罰金などが挙げられます。

たとえば、親が経営する税理士事務所を子が引き継ぐ場合、事務所用の不動産や家具は相続される可能性がありますが、税理士としての地位や資格は引き継がれません。子が税理士業を継続する場合、再び税理士資格を取得する必要があります。

遺産や相続に関する法的な取り決めや手続きは複雑なので、専門家の助言や適切なアドバイスを受けることが重要です。

相続税の課税対象の遺産

相続税の課税対象となる遺産について理解するためには、民法上の相続財産と相続税法上の課税対象の関係を把握することが重要です。

民法上の相続財産は、経済的な価値を持ち、金銭で評価できるものが相続税の課税対象となります。具体的には、プラスの遺産からマイナスの遺産を差し引いたものが相続税の課税対象となりますが、そのなかにはみなし相続財産や生前贈与によって取得した財産なども含まれます。

まず、相続または遺贈によって取得した財産、つまり民法上の相続財産(遺産)は相続税の課税対象です。この遺産は相続人によって取得される財産であり、その価値が評価されます。

また、みなし相続財産とは、民法上は相続財産ではないが、相続税法上は相続財産としてみなされる財産です。具体的には、生命保険金や死亡退職金、個人年金などが該当します。

これらは被相続人が生前から保有していた財産ではなく、相続開始時に受取人に固有の財産として受け取られるため、相続税の課税対象となります。さらに、相続開始前7年以内に行われた贈与も相続税の課税対象となります。

この期間内に贈与された財産は、相続財産に加えられ、相続税の課税対象となります。2024年からは贈与税の基礎控除が追加され、年110万円までの贈与については贈与税が課されませんが、相続時には相続財産に加算されます。

相続税の計算においては、民法上の相続財産だけでなく、相続税法上の課税対象も考慮されます。これにより、相続税の課税範囲は広がり、税務当局が課税逃れを防ぐための対策を講じておきましょう。

まとめ

遺産相続において、その対象範囲を正確に把握することは不可欠です。プラスの遺産には、現金や不動産、有価証券などが含まれ、相続人にとって資産となります。一方、マイナスの遺産には借金や未払いの費用が該当し、相続人はこれらの負債を負担します。また、相続税の課税対象となる遺産は、民法上の相続財産だけでなく、みなし相続財産や相続開始前7年以内の贈与も含まれます。遺産相続においては、適切な手続きと専門家の助言が重要です。


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