相続を忘れていたらどうするべき?放置するデメリットと対策

公開日:2025/01/15  

相続忘れ

相続は、被相続人(亡くなった方)の財産をその家族や親族が引き継ぐ手続きです。しかし、相続の手続きを放置してしまったり、相続自体を忘れてしまうケースも少なくありません。本記事では、相続を忘れてしまった場合の対処方法と、そのまま放置した場合のリスクについて詳しく解説します。

相続を忘れることがあるケース

とくに被相続人が遠い親戚であったり、相続の対象となる財産が少額の場合には、相続手続きの存在そのものを認識していないこともありえます。しかし、相続手続きを放置することには、思わぬデメリットが伴います。

相続を忘れてしまうケースにはさまざまな状況が考えられます。たとえば、遠方に住む親族が亡くなった際、相続人全員にその事実が伝わらず、遺産分割協議が行われないまま放置される場合などです。

また、相続財産が現金や不動産ではなく、例えば骨董品や名義変更が必要な土地の一部といった形で存在している場合、その財産の相続を認識しづらいことも原因のひとつです。

さらに、被相続人が借金を抱えている場合や相続財産がトラブルの原因となりそうな場合には、相続人が故意に手続きを進めずに放置してしまうこともあります

こうした状況が発生した場合でも、相続人としての権利と義務はそのまま維持されているため、相続を放置することにはさまざまなリスクが伴います。

相続を放置することのデメリット

相続手続きを放置することは、法的および経済的なデメリットを招くことがあります。

相続税や固定資産税などの税金に関する問題

相続税には申告期限があり、通常は相続開始を知った日から10か月以内に申告を行わなければなりません。これを過ぎると延滞税や無申告加算税といったペナルティが発生するため、相続を忘れて放置することは経済的な損失を招く可能性があります。

不動産が相続財産に含まれている場合には、名義変更を放置していると不利益を被ることもあります。不動産の名義変更が行われていないと、相続人はその物件を売却したり活用したりできません。

さらに、固定資産税の支払い義務も名義変更をしていない相続人に生じるため、他の相続人がその財産を使用している場合にはトラブルの原因となることもあります。

相続人同士の関係が悪化しトラブルになる

遺産分割協議が行われず、財産が放置されている場合、時間が経つにつれて相続人の間で意見の相違が生じ、相続手続きが一層困難になる可能性があります。とくに、相続人の数が多い場合や、相続人が複数世代にわたる場合には、協議が難航しやすくなります。

相続を放置すると財産の権利が失われる?

相続を忘れて放置したまま長期間が経過した場合、財産の権利が消滅する可能性もあります。これは、法律上の時効や消滅時効が原因です。たとえば、不動産の相続手続きを放置し、他の相続人や第三者がその不動産を長期間にわたって使用し続けた場合、占有権を理由に所有権が移転することがあります。

これにより、本来受け取れるはずの不動産の権利を失うこともありえます。また、預貯金や株式などの金融資産についても、一定期間放置していると口座が凍結され、引き出しや取引ができなくなることがあります。

銀行や証券会社は、長期間取引のない口座について凍結や休眠口座の扱いとする場合があるため、相続を放置することはこれらの財産を事実上失うことにつながるのです。

放置していた相続を取り戻すための対策

相続手続きを忘れてしまい、放置していたことに気づいた場合には、すぐに対策を講じることが重要です。最初に確認すべきことは、相続税の申告が必要かどうかです。相続税には申告期限が設けられており、通常は相続開始から10か月以内に申告する必要があります。

期限を過ぎてしまった場合でも、すみやかに税務署に相談し、延滞税や加算税を含めた申告を行うことで、リスクを最小限に抑えることが可能です。次に、不動産の相続登記を行っていない場合には、すぐに相続登記を行うことをお勧めします。

法務局にて必要な手続きを進め、不動産の名義を相続人に変更することで、トラブルを回避できます。名義変更を行うことで、不動産の売却や活用が可能となり、無用な税金の支払いや法的なトラブルを防ぐことが可能です。

また、相続人同士での話し合いが難航している場合には、家庭裁判所での遺産分割調停を利用することも有効です。調停委員を交えて公正な話し合いを行い、相続人全員が納得できる形で相続手続きを進めることが可能です。調停が不調に終わった場合でも、家庭裁判所が審判を行うため、最終的な解決が図れます。

相続を忘れないためにはどうするべきか?

相続を忘れて放置しないためには、被相続人が生前に財産管理や相続に関する準備を行うことが重要です。具体的には、被相続人が遺言書を作成することで、相続手続きの進行を明確にし、相続人がスムーズに財産を受け継げるようにできます。

遺言書があれば、相続人同士のトラブルも回避しやすく遺産分割協議が迅速に行われるため、相続を忘れることも防げます。また、被相続人が信託を活用することもひとつの方法です。

信託により、財産の管理や分配を第三者(信託会社や信託銀行)に委託することで、相続人が手続きを忘れてしまうことを防ぎます。信託を活用することで、被相続人が亡くなった際に信託契約に基づいて自動的に財産の管理や分配が行われるため、相続人が手続きを進める負担を軽減できます。

まとめ

相続を忘れて放置することは、さまざまなリスクを伴います。相続税や名義変更の問題だけでなく、時間の経過とともに相続財産そのものの権利を失う可能性もあるため、相続が発生したらすみやかに対応することが重要です。もし相続を忘れてしまった場合には、税務署や法務局、専門家に相談し、早急に手続きを進めることでリスクを最小限に抑えることが可能です。


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